他者を取り込み自分を進化させる 「心理的リアクタンス」への対処法
目次
心理的リアクタンスとは?
心理的リアクタンスとは「自由を求めることによる抵抗感」
心理的リアクタンスとは、「自由を制限されたり、選択肢が取り上げられたと感じることによって引き起こされる心理的な抵抗感(リアクタンス)」のことです。
もう少し具体的に言うと、本来自分の自由意志でやろうとしていたことに対して、誰かから命令されたり指示されたりすることで、自分の意志ではなく強制された行為であると感じやる気をなくしてしまうような状況です。
心理的リアクタンスの例:
・母親から宿題をやるように言われて「今やろうとしていたのに」と感じる
・すでに進めて仕事について改めて上司からその仕事の進行を命じられて、途端にやる気を無くす
・朝活を始めようとしていたときにたまたま友人に「朝活したほうがいいよ」とアドバイスされて始める気をなくす
前向きな事を考えている人ほど、心理的リアクタンスに直面する機会は多いと思います。
そのようなときに我々はどのように対処していけばいいのでしょうか。
心理的リアクタンスに向き合いそのメカニズムと自身を理解しながらも、一番自分のためになる選択をしていくための方法を考えていきたいと思います。
心理的リアクタンスが生じやすい人
プライドが高く、自分を諦めていない人
これは筆者の経験と私見ですが、心理的リアクタンスが生じやすい人や生じやすい状況というものがいくつか存在すると考えています。今回はその例を挙げてみます。
・決定することが苦手な人:ADHDのような傾向がある・予定を決めるのが苦手・美容院や歯医者などの予約をとるのが苦手
・自由を愛する人:一人暮らし生活が長い・旅行をするときはプランを決めない・食べ放題が好き
・プライドが高い人:「自分には能力がある」「自分は特別な人間である」と思っている
・理想と現実のギャップがある人 :「今はうだつが上がらないけど、本当は違う」「いつか成功してみかえしてやる」と常日頃考えている
・相手のことを一部でも認めていないとき・自分のほうが優れている点があると思っているとき
要は自由に生きていてプライドが高く、どこか自分はできる人間であるはずだということを諦めていない、そんな人であればあるほど心理的リアクタンスに陥りがちと思います。
しかしながら筆者はこれを決して悪いことだと思ってはいません。なぜならそれだけ自分に自身があり、自分の可能性と未来を信じて、自分の人生を自分の意志で前向きに生きようとしていることの現れだと思うからです。
重要なのはリアクタンスの有無ではなくどう向き合うか
重要なのは、この心理的リアクタンスにどう向き合って、自分の意思決定をどう行うかです。意味のない感情に振り回されて、本来の自分が選ぶことができていた選択肢をあえて外してしまうことが最も悲しいことだと思います。(宿題をやって学力を高めようとしていたのに、母親の意思決定に従うことになると思い込んで宿題をしない選択をするのは、母親に何も言われていない世界線の自分から見ても・その後の自分から見ても、全く合理的ではない選択です。)
しかしながらそうは頭でわかっても心が抵抗をもつものが心理的リアクタンスであるわけで、用意に冷静になれるのであればあなたもこの記事は読んでいないはずですよね。
そこで、頭ではわかっている合理的な選択を、感情も従えて行うためにできることは何かをまとめてみました。
心理的リアクタンスへ対応するステップ
まずは段階的に対応していくこと
いきなり未知の感情に対処できるほど人間はできていません。まずは、少しずつわずかなステップで向き合っていくことをおすすめします。
自分を見つめなおす10の段階
- 自分の感情を認識する: リアクタンスが起こっていることに気付くことが最初のステップです。自分の感情に正直に向き合い、その原因を理解しましょう。
- 原因を特定する: リアクタンスの原因を特定し、どのような状況や人物が引き金になっているのかを明確にしましょう。
- 深呼吸や瞑想でリラックス: リアクタンスは感情的な反応です。深呼吸や瞑想などのリラクセーションテクニックを使って、感情をコントロールしましょう。
- 状況を客観的に評価する: リアクタンスが起こる状況を客観的に見ることで、自分の感情を冷静に分析できます。選択肢や制限が本当に不当なものなのか、それとも自分の過剰な反応なのかを見極めましょう。
- 問題解決スキルを活用する: リアクタンスの原因となっている問題に対処するために、問題解決スキルを活用しましょう。交渉やコミュニケーションスキルを使って、適切な解決策を見つけ出すことが大切です。
- 自分の価値観や目標を再評価する: リアクタンスは自分の価値観や目標が制約されることに対する反応です。価値観や目標を再評価し、それらが現状と矛盾しているかどうかを検討しましょう。必要に応じて価値観や目標を見直すことで、リアクタンスを緩和できることがあります。
- サポートを求める: 心理的リアクタンスに対処するのが難しい場合、信頼できる友人や家族、専門家に相談しましょう。他者の意見やアドバイスが、新たな視点や解決策を見つけるのに役立つことがあります。サポートを受けることで、リアクタンスの原因に対処するためのアイデアや情報を共有できます。
- 柔軟性を持つ: 状況や他人の意見に対して柔軟であることは、リアクタンスの緩和に役立ちます。自分の考えや感情に固執せず、違う視点を受け入れることで、選択肢や解決策を見つけやすくなります。
- 自分を許す: リアクタンスは人間の自然な反応であり、時には自分を責めることなく受け入れることが大切です。自分に対して優しく、リアクタンスに対処する時間と空間を与えましょう。
- 経験を学びに変える: リアクタンスを経験したことで、自分自身や状況について学ぶことができます。リアクタンスが起こった状況や、それに対処する方法を振り返り、今後同様の状況に遭遇した際にどのように対処するかを検討しましょう。
全ての段階を必ず経る必要もないですし、この順序である必要もありません。まず重要なのは「ひとつでも対処している」と自分が自覚できることです。できることからやってみましょう。
心理的リアクタンスを克服する・対処法
一挙に克服することも不可能ではない
段階的対処は無意識にできるようになっていくことで、いつでも対応できる強靭なメンタルを作っていくことにもつながると思います。一方で、一度発生した心理的リアクタンスを一挙に解決させたい、そのようなことが求められる場面も多いと思います。その時にできることを考えます。
- 感情を受け入れる: 自分の感情に対して否定的でなく、受け入れることが大切です。リアクタンスが起こっていることを認め、その感情を理解しましょう。
- 状況を客観的に見る: 自分が受けたアドバイスを客観的に評価し、それが本当に自分にとって良いものなのかを冷静に検討してください。そのアドバイスが合理的であり、自分の目標や価値観に合致するなら、受け入れることを検討しましょう。
- 自分の意思決定を尊重する: アドバイスを受け入れた結果、自分の行動が変わった場合でも、それは最終的に自分の意思決定であることを認識しましょう。他人のアドバイスを参考にすることは、自分が成長するための一つの方法です。
- コミュニケーションを図る: アドバイスをくれた人に、感謝の意を伝えつつ、リアクタンスが起こっていることを正直に伝えましょう。お互いの意見を尊重し合い、理解を深めることが重要です。
- 経験を学びに変える: 今回の経験を通じて、自分がどのようにリアクタンスに対処するかを学びましょう。今後同様の状況が起こったときに、自分がどのように対処すべきかを考えることが役立ちます。
- 時間をかけて慣れる: アドバイスによって自分の行動が変わったことに対して、すぐに適応できない場合もあります。時間をかけて新しい行動に慣れ、それが自分にとって良い結果をもたらすかどうかを見極めましょう。
- 成功体験を振り返る: 自分が過去に他人のアドバイスを受け入れて成功した経験があれば、それを思い出しましょう。そうすることで、今回のアドバイスもポジティブな効果があるかもしれないという気持ちになれます。
- 自分に優しくする: リアクタンスが起こることを自分を責めず、自分に優しく接しましょう。心のバランスを保つことが、リアクタンスに対処する上で役立ちます。
- サポートを求める: リアクタンスに対処するのが難しい場合、信頼できる友人や家族に相談してみましょう。彼らの意見や経験が、あなたの状況に対する新たな視点を提供してくれるかもしれません。
- アドバイスを評価する期間を設ける: アドバイスを受け入れた後、その効果や適合性を評価する期間を設けましょう。一定期間経過後、そのアドバイスが自分にとって本当に有益であるかどうかを再評価し、必要に応じて行動や態度を調整することができます。
おすすめは「自分の意思決定を尊重する」こと
心理的リアクタンスは「自由意志の抑圧」で生まれる心理的現象です。その現象を根本的に解決するのは、「どのような外部刺激があっても、結局そこから何をするのかは自分自身が決定している」という圧倒的事実を自覚することが特効薬だと思います。
そしてこの自覚は自信へとつながり、あらゆる行動へつながるエネルギーとなります。
自分の人生は自分の意志で選択して、自分で生きている。このあたりまえすぎる圧倒的事実を忘れず、時には意識的に思い返して、今日を生きていきましょう。
まとめ
リアクタンスは、適切に対処することで、自己理解や成長に役立つ機会となります。自分の感情や反応を理解し、適切な対処法を見つけることで、より健全な心の状態を維持することができます。
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